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1558話

「米を見つけるのは本当に難しいんだね」

顔には出さずに、私は頷いて相槌を打ち、お世辞を言った。「そうでしょう?普通の人なら野猪の足を見ただけで震えちゃうところだけど、あなたはそんなことなかったんでしょ?」

「なんだよ、俺が怖がるわけないだろ。あいつが突進してきたとき、あっという間に、俺は迷わず銃を構えて撃ったんだ」

鐘富は完全に自分の作り話の世界に入り込み、話しながら腕を上げて銃を構える姿勢をとった。ところがその動きで傷を引っ張ってしまい、痛みに顔をしかめた。

「当たったの?」

私は話題を逸らした。

「いや、あいつは臆病でな、俺が銃を構えたのを見て、すぐに逃げ出した。せっかく出会えたん...