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1552話

電話を切った後、溜息をついた。都会での問題はまだ片付いていないというのに、今度はこちらでも面倒が起きてしまった。

数時間かけて急いだ甲斐があって、国の政策の恩恵で村人たちが補助金を受け取り、各家庭が少しずつ出し合って道を整備したおかげで、なんとか日が暮れる前に村に戻ることができた。

家に立ち寄る暇もなく、そのまま桃燕の診療所へと向かった。

診療所は前回帰省した際、桃おじさんと相談して建てたもので、便利さを考えて山道の入口のすぐそばに位置している。

遠くから白壁に青い瓦屋根の小さな建物が見えた。どうやら最近完成したばかりのようだ。

まだ建物に入る前から中から聞こえてくる騒がしい声が聞こ...