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1540話

体に残る感触。

案内係の後に着席すると、私は言葉をかけようとしたが、横にいた給仕が先に笑顔で声をかけてきた。「お客様、ご注文のお料理は今すぐお持ちしましょうか、それともお待ちいただきますか」

今は食事どころではない。私は手を振って「後にしてください」と言った。

「今出してください」

言い終わるか終わらないかのうちに、妻が口を挟んだ。私の困惑した表情に、彼女は優しく微笑んで「さっき家で、お腹すいたって言ってたじゃない?ちょうど私もお腹が空いたわ」

どんなときでもいいのに、よりによってこんなときに反対意見を言うなんて。給仕の困った表情を前に、私は仕方なく「今で結構です、今で」と言った。

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