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1503話

「かつらまで放り出して、急いでドアの外に向かって「先に行くね!」と声をかけた。

唐薇の後ろ姿を見つめながら、思わず微笑んでしまう。彼女も何も背負っていないわけではないんだな。心に大切な人がいるようだ。

私も気持ちを整え、足早に部屋を出た。

最初は思い出さなければ良かったのに、一度思い出すと、心がやきもきしてくる。妻が大丈夫だと言っていても、やはり自分の目で確かめたかった。

会社に車を取りに行く時間もなく、そのままタクシーを拾って家に向かった。

マンションで降りて、急いで帰ろうとした瞬間、ひとつの声に呼び止められた。

振り返ると、金煥だった。

「どうだった?大丈夫か?」

心は焦っていたが、それで...