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1455話

最初は妻のことが少し心配だったが、董奎の部下たちはただずっと後をつけて見ているだけだったので、事が収まるまでは大事にしたくなかった。

車を駐車場に停め、妻と一緒に建物の入り口まで歩いたところで、私はポケットを探るようなしぐさをして「携帯を車に忘れた」と言った。

そして困ったように「先に上がっていてくれ、取りに戻るから」と続けた。

「早く帰ってきてね!一人だと怖いわ」

妻は心配そうな表情で私を見つめた。

「ああ、大丈夫だよ」

私は頷いた。妻は具体的に何が起きているのか分からないだろうが、きっと私に何か問題が起きていることは感じ取っているはずだ。

妻がエレベーターに乗り込むのを見送り、振り...