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1368話

妻が退勤するまで辛抱強く待ち、会社の本館から出てきて、レストランに入り、食事を終えてからまっすぐ戻っていく彼女の姿を見ていた。

会社を離れる彼女を待つことはできなかったが、少し嬉しくもあり、少し残念でもあった。

車から降りて弁当を買い、まだ食べ始めていないうちに、突然電話が鳴った。高玥からだった。

「もしもし?」私は訝しげに電話に出た。

「私、いつから出勤すればいいの?」高玥の澄んだ声が聞こえてきた。

関係を持った後、高玥の話し方は以前のような平板さがなくなっていた。しかし、彼女の言葉の方が気になって、尋ねた。「出勤?どんな仕事の?」

「私、もう退職したじゃない。今はまだ仕事が見つからなくて、...