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1315話

「奥さん、まだ帰ってないの?」彼女の声を聞いて、やっと少し安心した。

「もう建物の下よ、すぐ上がるわ!」私の心配を感じ取ったのか、妻の声色には少し嬉しさが混じっていた。そして「何かあった?」と笑いながら尋ねてきた。

「いや、まだ残業してるかと思って。遅くに乗り物に乗るのは危ないから、終わったら電話してくれれば迎えに行こうと思ってたんだ」私は半分本気、半分建前で言った。

「うん、旦那さんって優しいね。はい、今エレベーターに乗るわ」妻は笑いながら電話越しにキスの音を送ってきた。

すぐにドアが開き、まだ部屋に入る前に妻が外から「ねえ、ちょっと持つの手伝って!」と呼びかけた。

「これ全部何?」妻が持っ...