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1163話

「板さん、僕らに一杯おごって、取引成立の祝杯を上げてから行くべきじゃないですか?それなりの商談がまとまったんですからね!」許攸が冗談めかして言った。

「いいよ、問題ない」二人が料理を注文した時点で、自分が財布の紐を緩めることになるとは分かっていた。だが今夜は、その役目を果たす必要があった。

給仕がすぐに料理と酒を運んでくる。この二人は遠慮がないものだ。ボトルが開けられ、コルクが抜かれる音を聞きながら、まるで自分の財布に穴が開き、銀貨がざらざらと転がり出ていくのが聞こえるようだった。二人と杯を交わし、酒は香り高かったが、飲み込むと心の中は苦かった。会計の時、半月以上の給料があっという間に消えた。...