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1094話

「心の中で疑問が湧いたが、彼女の気性を知っていたので、聞いても答えてくれないだろうと思い、車を走らせた。幸い、目的地はそう遠くなかった。

道中は無言で、気まずい雰囲気が漂っていた。何度か音楽をかけて場の空気を和らげようと思ったが、結局手を伸ばすことはできなかった。

あの夜と同じ道端に車を停めると、張婷は此処をよく知っているようで、ドアを開けて先に降りていった。

私は後ろから足早に追いかける。彼女は道を歩くのではなく、道端の階段を下って河岸へと向かった。何をするつもりなのか全く見当もつかず、私はもやもやしながら後を追った。

ついに渡し船が停泊する河岸の入り口で彼女は立ち止まった。ここはかつて渡し...