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1087話

帰り道に、わざわざ良い酒を一本買った。

家のドアを開けると、妻はすでに美味しそうな料理を食卓いっぱいに並べていた。その嬉しそうな様子を見ると、何かを予感していたようだ。玄関に入るなり彼女を抱きしめてキスをすると、珍しく素直に、私のいたずらに抵抗せずにいた。顔を赤らめ、可愛らしく息を荒くするまでキスをした後で、やっと離れ、背中に隠していた酒を取り出した。

その酒を見た彼女は少し異議ありげな顔をした。昨夜も私は泥酔したばかりだったからだ。だが雰囲気を壊すことなく、素直にグラスを二つ持ってきた。私はいつものように向かい合って座るのではなく、二つの椅子を並べた。心の喜びを彼女と分かち合いたかったのだ...