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2850話

吴二虎の待ち時間は無駄にならなかった。およそ一時間ほど経った頃、一戒和尚の四、五回の咳込みが聞こえ、禿げ上がった頭がようやく井戸から伸び出てきた。夜目の効く吴二虎は一目見ただけで、間違いなく一戒和尚だと確信した。

チャンスを逃すまいと、吴二虎は突然鋼の指を伸ばして一戒和尚の頭を小突いた。そして、もう一方の手で彼の頭を掴み、一気に一戒和尚を井戸から引き上げると、地面に放り投げた。

口を封じられていた一戒和尚は、うめき声一つ上げることなく吴二虎に制圧された。吴二虎は彼をそのままにして、一戒和尚が使った梯子を伝って井戸の中へ降りていった。この枯れ井戸が一体どうなっているのか確かめるためだ。底まで...