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1783話

「そう言って、柳紅は立ち上がり、外へ歩き出した。

呉二虎の心は何かに刺されたように痛んだ。良心が咎めていたのだ。彼は柳紅母娘に自分の正体を明かしたい気持ちに駆られたが、安全のためにそれを堪えた。

いつか必ず、命の恩人である母娘に恩返しをしよう——そう心に誓った。

柳紅が小さな台所に入ると、娘が呉二虎のために丁寧に薬を煎じている姿が目に入った。複雑な気持ちが湧き上がる。娘の乙女心は、母親である自分にはお見通しだった。

「お母さん、張虎兄さんは自分の家がどこにあるのか、どんな人なのか教えてくれた?」柳心美は急いで尋ねた。

「あの人はまだ本当のことを言おうとしないわ。何か言いづらい事情があるの...