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52話

凤千寻が心を落ち着かせてからそう長くないうちに、彼女の妻もようやく半日以上に及ぶ苦痛を終え、お腹の中の小さな悪戯っ子がついと出てくる気になったのだ。

うん、お腹の中にいる時は、当然「小さな悪戯っ子」と呼ばれていた。

しかし、聞人宗主が十月の苦しい妊娠期間を経て生まれた我が子を抱きしめた瞬間、それまでの痛みなど一瞬で忘れ去り、「小さな悪戯っ子」などという呼び名はどこかかなたへ吹き飛んでしまった。

こんなに可愛い赤ちゃんが、どうして悪戯っ子なんかであろうか。これは彼女の大切な娘ではないか。

ほら、我らが美しい宗主が赤ちゃんを見つめる慈愛に満ちた表情を見てごらん。まさしく彼女の宝物ではないか...