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678話

観客席からはさまざまな声が上がっていた。同情の声もあれば、面白がって見物する者、冷ややかに嘲笑う者もいた。

皆がブラック・バルーが半死半生で、クワークリーに痛めつけられるだけだろうと思っていた矢先、地面に倒れていたあの痩せこけた影がおぼつかない足取りで立ち上がった。全身血まみれで、表情ははっきりとは見えなかったが、それでも彼は必死に背筋を伸ばし、クワークリーをまっすぐ見据えて言った。「母さんがね、生きてる限り、敵の前では決して倒れるなって」

「中々の頑固者だな」群衆の中から、紳士風の男性が少し残念そうに首を振った。

「まるであなたみたいね」金髪の美女が肩をすくめた。

「残念ながら、俺は...