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661話

蝦蟇の頭の中には今、ただ一つの考えしかなかった。それは逃げることだった。

青山あれば薪に事欠かず。

今夜は逃げられないと思っていたが、まさか小さな一芝居で逃げ出せるとは思わなかった。

胸を押さえると、痛みが増していくのを感じた。先ほどの衝突で、趙哲は彼の胸のほぼすべての肋骨を折ってしまい、内外ともに重傷を負っていた。早急に治療しなければ、殺されなくても出血多量で死んでしまうだろう。

「くそったれ、俺が外で戦ってるってのに、てめぇはここで煙草なんか吸ってやがるのか。車を出せ、さっさと車を出せ!」

よろめきながら自分の車列に辿り着いた蝦蟇は、車で逃げ出そうとしたが、弾薬を積んだ...