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613話

鉄重は心の中で「畜生め」と呪った。自分の言った通りだ。女さえ絡めば、こいつにはすぐ引っかかる。ほら見ろ、千面玉仏と呼ばれる玉女までもがこいつと関わりを持っているじゃないか。まったく、妬ましい限りだ。

「ふむ、獅王よ、無用の訪問はしないものだ。今回我々が来たのは、少し相談したいことがあってな」鉄重は때が来たと判断し、本題に入るべく軽く咳払いをした。

「獅王、ご存知の通り、最近江湖は動乱が続いている。洪通天は自分の勢力を拡大し続け、東北全体を飲み込もうとしている。我々はあちらで大きな脅威に晒されている。それに先日、奴の息子を叩きのめしてしまったからな。洪通天との確執も深まった。今回来たのは、獅...