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606話

「もし趙哲が火舞の今の心の内を知ったら、きっと血を吐くほど怒るだろうな。お兄さんは善意で忠告してるのに、お前ときたら、陰で俺を畜生呼ばわりか」

「無駄話はいい。お前の命、頂くとしよう」趙哲は冷笑し、足を地面に強く踏み込んだ。わずかに湿った土地に円形の穴が爆ぜ、電光のような速さで鉄拳のような拳を振りかぶり、容赦なく打ち込んだ。

刀魔は目を鋭く光らせ、同じように冷ややかに鼻を鳴らした。「小僧、生意気な」

刀魔はもはや時間を引き延ばす余裕もなく、目の前の少年から感じる危険な気配に警戒し、最初から切り札を使ってきた。大刀を横に構え、縦横無尽に振り下ろす。凛々しい刀の刃が、闇夜に幾筋もの眩しい光を...