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510話

速度を時速三百キロまで上げると、本来なら二十分以上かかるはずの道のりが、趙哲の運転によってわずか五分に縮められた。まず頭に浮かんだのは林莎莎のオフィスだ。趙哲は急いでオフィスビルに駆け込んだが、誰の姿も見当たらなかった。

今や学校の教師たちはほとんどが退勤して夕食を取りに帰った後で、廊下には人影一つなく、緑色の非常口サインと遠く離れた場所に設置された廊下灯だけが点灯していた。

「くそっ、オフィスにいないなんて!」

趙哲は怒りの呪文を吐きながら、オフィス棟を隅々まで探し回ったが、林莎莎も武藏一郎の姿も見つけることができなかった。

「一体どこにいるんだよ、畜生!」

怒りのままにゴミ箱を蹴...