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289話

「鋭いカーブだ、少なくとも九十度はある」。寧ちゃんはアクセルを少し緩めただけで、ハンドルを大きく切り、見事なドリフトを決めた。車の軌道は自然と外側へと流れていった。

そのとき、赤いフェラーリが猛スピードで迫ってきた。エンジン音の響きは、このアウディよりも明らかに上質だった。アウディA6の性能は優れているとはいえ、フェラーリの卓越した性能には遠く及ばない。このカーブを利用して、赤いフェラーリがインコースから割り込んできて、アウディを追い抜こうとしていた。

寧ちゃんの表情が一瞬曇り、アクセルを思い切り踏み込んで相手を一気に引き離そうとした。

相手は地形を利用して、寧ちゃんの車を危険な状況に追い...