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86話

齋藤晓蓓が去った後、私の心の中に一人の人が住み着いた。

彼女に家賃を請求すべきかどうか迷うな、あんなに突然入ってきたのだから。

ふっと笑い、窓際に歩み寄り、一本のタバコに火をつけた。

そのタバコは少し苦くて、半分ほど吸ったところで吸う気が失せた。

齋藤晓蓓に対する思いと同じように、彼女を抱きたいと思っていたが、今はもうその気持ちも消えていた。

アパートの部屋で長い間座り込み、いろいろと考えた。

孔老三の名言のように、吾日三省吾身。今の私は自分自身を反省している。

何を反省しているのかはっきりとは言えないが。

午後になってようやく、私の心は本当に落ち着いた。

それ以上考えること...