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76話

私は斉暁蓓に引っ張られるままに階下まで連れて行かれた。

そこに着くと、彼女は私の手を振り払い、顔を横に向けてしまった。

彼女と知り合ってから今まで、こんなに激しく反応する斉暁蓓を見たことがなかったので、少し慌ててしまった。同時に「おとなしい人でも三分の怒りはある」ということわざを思い出した。

だが問題は、俺は彼女を怒らせるようなことなんて何もしていないということだ。

昨夜はわざわざ彼女に誕生日プレゼントを届けたというのに、今日は一人の老人のためにこうして怒っている。

老人?

急に、あの老人は私が思っていたほど単純な存在ではないかもしれないと気づいた。

もしかして斉暁蓓の父親なのか...