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413話

運転しながら、私は急いで安陽市内へと向かった。

その時、頭の中はただ斉暁蓓との思い出でいっぱいだった。一枚また一枚と、浮かんでは消え、現れては砕け散る記憶の断片。

すべてが唐突に感じられたが、どこか必然でもあるようだった。

やがて、空から小雨が降り始めた。

今は早春、寒いながらも冬の刺すような寒さはもうない。

ベトナムへ向かう途中、ここを通った時のあの気温は本当に耐え難いものだったことを思い出す。

雨はしとしとと降り続け、まるで天もまた何か悲しいことがあったかのようだ。

そう思いながら、私は小さくため息をついた。

すぐに、対向車線から一台の車が近づいてきた。

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