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40話

部屋に駆け込んだ時、かすかにすすり泣く声が聞こえた。

それはつまり、莫玉紅がまだここにいて、誘拐犯たちはまだ来ていないということだ。

部屋を一瞥した後、すぐに電気を消し、隠れる場所を見つけて身を潜めた。

しばらくして、混乱した銃声が響き渡った。音からすると、まだ少し距離があるようだ。

誘拐犯たちは間違いなく警察と鉢合わせしたんだろう。これで逃げられないはずだ。

くそっ、やっと助かったか。

さっきまでの追跡劇を思い返すと、心臓が激しく鼓動した。俺に命を守る手段がなかったら、今日ここで命を落としていただろう。

銃声は数十秒続いた後、外は急に静かになった。

目隠しを外...