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353話

夜も更けた頃、二人の男が一人の女を尾行していた。不倫の現場を押さえるか、それとも強姦目的か。

私は後者の可能性が高いと踏んでいた。というのも、その二人の男はどう見ても不審な風体をしていたからだ。

法律を遵守する良識ある市民として、こんな事態を見過ごすわけにはいかない。

もっとも、心の奥底では、こんな美しい女性がろくでもない男どもに汚されるのを見たくないという思いの方が強かったりするのだが。

そう考えながら、私はその場に立ち、一本のタバコに火をつけた。

酔いつぶれた女性は自分の危険に全く気づいていない様子で、ゆっくりとした足取りで歩き続けていた。千鳥足で、まるで空中にハートマークを描く...