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333話

一楽通りのほぼすべての店は「一楽」の名を冠していた。

私たちが訪れた料理店も、一楽料理と呼ばれていた。

一楽料理はとても大きかった。

小美惠子が教えてくれたところによると、一楽料理は一楽通りの源流であり、かつて一楽クチが創設したもので、彼が成功を収めた基盤でもあるという。

この一楽クチという東瀛人は、一楽通りの神のような存在だった。

彼は一楽通りを築いただけでなく、東瀛人たちに「一楽組」という避難所も提供した。

そして一楽料理こそが一楽組の本拠地であり、六十年もの間、その地位は揺るがなかった。

だからこそ一楽料理は一楽通り最大の店となり、個室だけでも六十もあった。さらに一楽料理の...