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209話

「幸福時光」は安陽市中心部にあるカフェで、人通りがとても多い。

誰かがここで悪さをしようとしても、基本的に手を出す前に周囲に取り囲まれてしまう。

去年も何件かそういう事件があって、そのうちの一回は、スリが盗みを働こうとした瞬間に見つかり、結局そいつは周りの人にボコボコにされかけた。

だから、黄大彪が僕とここで会おうとしたのは、かなり誠意のある態度だと言える。

八時半頃、僕は一人でゆっくりと「幸福時光」に入った。

黄大彪はボックス席に座ってぼんやりしていた。

山田という日本人野郎が静かに彼の傍らに立ち、僕を見るとすぐに黄大彪の耳元で何か囁いた。

振り向いて僕を見た黄大彪は、にやりと...