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143話

足音はどんどん近づいてきて、その時の私はもう慌てまくっていた。

女は私の存在をすっかり忘れてしまったようで、男に対して少しの制止もしなかった。

これはマジで男に見つかったら、どう説明しても通じないだろう。

私はその時、トイレットペーパーになって便器に流されてしまえたらと思うほどだった。

ギシッと音がして、トイレのドアが開いた。

「うわっ、なんだよ」

尻丸出しの太った男が驚いて叫び、慌てて数歩後ずさった。

男が慌てているのを見て、女は鼻を鳴らして高飛車に言った。「あんた、どうしたのよ?」

彼女がそう言うと、男は振り返り、そして信じられないという顔で私を見た。

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