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94話

モニター映像を切り、冷凛は戸棚を開けた。タイマーの針は止まっていた。あの映像で見た笑みは彼に向けられたものだった。彼がやり遂げたことを伝えたかったのだろう。

冷凛は寝室に戻らず、調教室のソファで一晩を過ごした。この一ヶ月間の二人の関係を思い返し、井燃が彼にもたらした喜びを考えていた。井燃はまだこんなに若いのに、自分が何を望んでいるかをずっと理解していた。全力で欲しいものを手に入れようとし、手に入らなければ別の方法を探し、疲れを知らず前進し続ける。それは彼に顧慮がなく、結果を気にせず、失敗してもまたやり直せばいいと思えるからだ。しかし自分は違う。止まった水のような生活に井燃が突然飛び込んできて...