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23話

「入るなり荷物を置いたところで、跪こうとしたら、冷凛が手を振って「汗だくじゃないか、さっさとシャワーを浴びてこい」

シャワーを済ませて出てきた井燃は、リビングに座っている冷凛の前に跪いた。

「どうしてこんなに早いんだ」

「6時にあなたの部屋の前で跪いてご挨拶するとおっしゃっていたではないですか」

「その時、お前はどこにいた?」

「玄関の前です」

「アピールしたいなら、起こり得ることを前もって考えておけ。マンションの入り口とエントランスのカードは靴箱の上に置いてある。後で持っていけ。玄関の暗証番号は私の誕生日、8月24日だ」

「わかりました、ご主人様」井燃は心の中で呟いた。「なるほど、蠍座か。...