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154話

再び目を覚ますと、もう昼近くだった。温子明はテレビを見ていて、井燃はうるさく感じたため、ベランダに出て呆然と立っていた。ふと下を見ると、楚良の姿が目に入った。おそらく温子明を訪ねてきたのだろう。自分が二人の週末を邪魔しているのかと思ったが、いや、二人はまだ付き合っているわけではない。邪魔になるわけがない。

彼は楚良が一台の車に近づき、窓をノックして中の人と話しているのを見た。車が走り去り、ナンバープレートが見えた時、井燃はそれが冷凛の車だと気づいた。

井燃はドアを開けて階段を駆け下りた。古いマンションにはエレベーターがなく、階段の入り口で上がってくる楚良とぶつかった。楚良は井燃が靴も履いて...