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100話

井燃は振り向いて信じられない様子で、立ち上がってもう一度尋ねた。「外に食事に行っていいの?」肯定の返事を得ると、飛び上がって喜んだ。

服を着終わると、冷凛は自分の上着を彼に羽織らせ、風邪を引かないよう確認してから、こっそりと看護師の目を避けて冷凛の車に乗り込んだ。堂々と食事に行くだけなら何でもないのに、冷凛の後ろに隠れるようにしてこっそり出かけることで、全身の血が沸き立つような気分になった。まるで駆け落ちのようだ。

彼らは香港スタイルの茶餐庁へ行き、冷凛は井燃のために青菜の炒め物と、スープ、それにご飯を注文した。井燃はもう好き嫌いを言う勇気もなく、出されたものを素直に食べた。

食事中、冷...