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555話

彼女は何度も頭を振って、それからやっと聞き取れないほどの小さな声で言った。「私……私はそんなこと……彼氏すらいないんです……」

李山はとっくに孫晴が男性経験のない若い娘だと見抜いていたが、彼女自身の口から彼氏がいないと聞いて、思わず生唾を飲み込んだ。

あんなに愛らしい様子の孫晴が、男性の愛情を受けていないなんて、本当にもったいない。李山は今すぐにでも飛びかかって彼女を抱きしめたい衝動に駆られた。

しかし今は孫晴の診察中だ。李山は気持ちを抑えて、彼女に言った。「よし、まずは口を開けて、舌を出してみてください」

孫晴は一瞬戸惑い、恥ずかしそうに小さな声で尋ねた。「どうして口を見るんですか…...