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489話

「じゃあ、お母さんの診察は改めてにするよ。ちょうど用事もあるしね」怒った李山は鼻を鳴らすと、くるりと背を向けて歩き出した。

「李おじさん!」

突然、徐蓉蓉が大声で叫んだ。

迷いを抱える徐蓉蓉

徐蓉蓉の焦った叫び声を聞いて、怒りの真っ最中でも李山の心は少し和らいだ。徐蓉蓉が追いかけてくるなら、自分は立ち止まろうと思った。しかし、徐蓉蓉は一度叫んだきり、その後は何の動きもなかった。

来るときは意気揚々、帰るときは腹立たしさで胸がいっぱい。

徐蓉蓉が張楽に抱きしめられていた光景は、まさに彼の心に刺さった棘のようだった。

診療所に戻った李山は、すぐに自分の普段休んでいる部屋に駆け込んだ。自分は...