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460話

李山が嬉しかったのは、診療所に着いてすぐに徐蓉蓉が自分から声をかけてきて、昨夜持ち帰ったTシャツを返してくれたことだった。しかもきれいに洗濯してあり、ほのかな香りが漂っていた。

久しく女性に服を洗ってもらったことがなかった李山は、この気配りに心を動かされ、絶対に徐蓉蓉を手に入れよう、いや、妻にしてしまおうとさえ決意を固めた。

しかし李山が思いもよらなかったのは、その後の数日間、徐蓉蓉が一度も自分を訪ねてこなかったことだった。診療所で勤務中も彼女は極力李山を避け、李山から話しかけても恥ずかしそうな様子で、言葉を交わすとすぐに忙しさを理由に立ち去ってしまうのだった。

これに李山は胸中に疑念を...