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331話

桂草は一瞬慌てふためいた。まさかこんなところで予想外のトラブルに巻き込まれるとは!

悪意

トラック運転手は桂草の小さな手をがっしりと掴み、その笑い声は途端に下品なものへと変わった。

「お嬢ちゃん、夜道を一人で歩くのは危ないぜ。兄ちゃんは情けをかけてやるから、無料で送ってやるよ」

「離してよ!」

桂草の顔は怒りで真っ赤に染まり、まずはトラック運転手の手から自分の手を引き抜くと、次に彼を突き飛ばした。

しかしこのトラック運転手は尖った顔つきで痩せこけた体型に見えるが、実は体は非常に頑丈で、桂草が押しても微動だにせず、逆に彼女自身が二歩ほど後ずさりしてしまった。

運転手は左右を見回した。人気のない国...