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330話

大きなコートを羽織った桂草は一人で村の中を歩いていた。疑いを避けるため、誰にも自分の姿を見られたくなかったので、わざと小道を選んで村の外の国道まで回り、そこから村の西側へと向かっていた。

村の西側には空き地はあまりなく、宋未亡人の広いトウモロコシ畑があるだけだった。それは遠くからでもはっきりと見え、非常に分かりやすい場所だった。

さらに国道側は時々長距離バスや大型トラックが通り、街灯はそれほど多くはないものの、十分明るかった。

桂草がこの道を選んだのは、村人たちに知られたくないという理由だけでなく、自分なりの思惑もあったからだ。こっそりこちら側からトウモロコシ畑の脇にある小高い丘に行き、...