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311話

「浩児……」

ギィ——桂草の声に続いて、ドアが開く音が響いた。

一瞬、李山は魂が飛び出しそうになるほど驚き、稲妻のように手を引っ込め、慌てて身を起こして、ドアの方を見た。

幸い、桂草は彼の名前を呼んでからドアを開けたので、李山のさっきまでの行動がすべて見られることはなかった。

それでも、李山は驚いて額に汗をびっしょりかいていた。

桂草がドアを押し開けて入ってきて、何か言おうとしたが、李山の額に浮かぶ汗粒を見て、自分が何をしに来たのかも忘れ、急いで李山のベッドの側に駆け寄り、心配そうな表情で言った。「浩児、どうしたの?額に汗をかいて、もしかして具合が悪いの?どこか調子が悪いの?」

彼女は心配のあ...