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209話

そうと決まれば、李山はすぐに山に登る決心を固めた。本当に人食い狼がいるとしても、覚悟の上だった。

まだ山に入る前、山のふもとで李山は隣の林から聞こえてくる物音に気づき、足を止めてじっと耳を澄ませた。

隣には小川が流れており、村の年配の男たちから聞いた話では、村の女たちがよくこの辺りで水浴びをするという。今まで一度も遭遇したことはなかったが、物音を聞いて李山はすぐに立ち止まった。

心の中の下心が一気に湧き上がり、山に登る決意を吹き飛ばしてしまった。李山は注意を女性たちに向けた。

よく聞いてみると、確かに女性の声が聞こえてきて、李山は顔をほころばせた。周囲を見回してから、こっそりとその方向へ歩...