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171話

李天硕の口から、歯が一本飛び出した。

場内騒然となった。

「雲姉さんの前で龍兄の手下を殴るなんて、このじじい、頭おかしいんじゃないか?」

「李天硕は龍兄の一番のお気に入りのボディーガードだぞ。この話が龍兄の耳に入ったら、このじじいの首をねじ切るんじゃないか」

李山は唾を吐いた。真っ赤な血混じりの唾液が口から飛び出し、床に一滴の水たまりとなった。

彼は陰気な目つきで、その場にいる全員を睨みつけると、目を白黒させ、そのまま気を失った。

どれくらいの時間が経ったのだろうか。病床に横たわる李山は、ようやくゆっくりと目を開けた。

彼はずっと高血圧を患っていたのだが、普段はその症状がほとんど現れなかった...