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646話

「すみません、見間違いですよ。私は観客に過ぎないんです」

「それは残念だ。君、本当にスター性があると思ったんだけどな」

「褒めないでください」細い目をした林薇薇は言った。「ここは映画館です。映画をちゃんと見ることをお勧めします。女の子を口説くのはやめてください」

「後ろの席に移って、少し話さない?」

「私は映画が見たいんです。あなたとお喋りする気はありません」

「この映画、たいして面白くないよ」

「でも主人が面白いって言ってたわ」と林薇薇は言った。「それと、もう一つ言っておきますが、あなたは今、私の主人の席に座っているんですよ」

「ご主人も来てるの?」

「残業で、私に付き合えな...