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559話

王立和は携帯の着信音を聞きながら、部屋から出てきた妻に微笑みかけた。

夫に微笑み返し、部屋を指さした妻は、そうしてから部屋へ戻っていった。

「王社長」

「森淼か、今どこにいる?」

「ホテルだよ。言ってた女の子はどうした?」

「すまない、行けなくなった」

「残念だな」

「気にするな。これからも機会はいくらでもあるさ」と王立和は言った。「早めに休んでくれ。明日また話そう」

「娜娜はどうだった?」

この三文字を口にした途端、電話を切った王立和は吴森に電話をかけた。

「妻の消息はあるか?」

「ない」と王立和は答えた。「やっぱりそっちで探してみたらどうだ。見つからなければ警察に届けるしかないな。いっその...