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327話

その時、社員が一人入ってきたので、許娜はそれ以上何も言わなかった。

九時過ぎ、王立和が既に会社に来ていることを知った許娜は、社長室へ向かった。

ノックをしてから、許娜はそのまま中に入り、手際よくドアを閉めた。

書類に目を通している王立和を見て、許娜は尋ねた。「何を見てるの?」

「先月の財務報告書だ」

「どう?」

「あまり良くない」王立和は言った。「先々月と比べると、純利益率が十ポイント下がっている。今朝、会長から電話があってな、来週取締役会を開くそうだ。ある議案を審議するためだ。内容も教えてくれたよ。子ブランドを立ち上げて、高級ブラジャー市場に特化するつもりらしい。その時にはモデルか女優を何...