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120話

「本当は、お金を直接夏雨涵に渡したかったんだけど、彼女が受け取ってくれないと思ったから、黄茜に頼んだんだ。なのに今度は黄茜が、自分で院長に会いに行けって言うし。院長なんて知り合いでもないのに、いきなり行ってお金を渡しても、受け取ってくれるわけないじゃないか」

考えた末、俺は黄茜にお金を手渡した。彼女が何か言う前に、さっと背を向けて立ち去った。まるで功績を隠す侠客のような気分だった。

黄茜が後ろから呼びかけてきたが、振り返りもしなかった。児童福祉施設を出た瞬間、携帯が鳴り出した。張芸からの着信だ。最初は例の50万元のことで連絡してきたのかと思い、電話に出なかった。しばらくすると、また張芸から...