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75話

彼もまた大量の汗をかいていた。額や頬には大粒の汗が浮かび、その眼差しは暗く沈んだ深い泉のようで、彼女の顔に釘付けになっていた。ほんの一瞬でも視線を合わせれば、その深みに吸い込まれてしまいそうだった。

彼は両腕で彼女の体の両側を支え、完全に彼女を押さえつけてはいなかったが、逞しい筋肉が盛り上がっていた。彼女が触れると、手いっぱいに汗が感じられた。

彼が上下に動くたびに、汗の滴が頬から落ち、彼女の首筋へと滴り、さらに胸元へと流れ落ちていく。じわじわと、じんじんと感じる。

「……」こんな彼は、なんて色気があって、なんて激しいんだろう!

結婚したばかりの頃は、彼はこれほど情欲に溺れることはなか...