




3話
「昨日、姉と一緒に宝石を見に行ったの。彼女が星矅ジュエリーはもう終わりだって。新作はめちゃくちゃだから、宝石会社を買収して、あなたを招いてチーフデザイナーにしたいって」
令儀は笑った。「奂東姉にお礼を伝えて。今はまだその必要がないわ」
「それにしても、一体どこにいるの?」
令儀が答えようとした瞬間、ドアから「ピッ」という音が——
多吉が警戒して立ち上がり、素早くドアへ向かった。尻尾を嬉しそうに振りながら、「ハァハァ」と喜びの声を上げる。
周正が帰ってきた!
「ごめん、また後で話すわ」令儀はすぐにビデオ通話を切った。
玄関に現れたのは、背が高く引き締まった体つきの男性だった。彼の身長は目測で190センチを超えている。
黒いジャケットを着ており、肩や袖には水滴がいくつか付いていた。下は深褐色のズボンで、脚は長くまっすぐだった。鍵を置くと、靴を脱ぎ始めた。
多吉は嬉しそうに彼の足元に寄り、尻尾を振りながら前足で彼に飛びついた。
彼は多吉の頭を撫で、「座れ」と一言言うと、多吉はすぐに座った。それでも尻尾は嬉しそうに振り続けていた。
令儀は最後のスープを飲み干してから立ち上がり、彼に向かって歩み寄った。「お帰りなさい。後からメッセージ見たわ」
「ああ」彼はスリッパに履き替えた。「今夜は窯出しがあって、張おじさんに見てくれと頼まれたんだ。歩いて帰ってきたのか?」
「タクシーが拾えなくて」令儀は彼のジャケットについた水滴を見た。「雨が強くなったの?エアコンつけてるから、上着脱いだら?」
「ああ」周正は上着を脱いだ。中には黒い薄手のニットを着ていた。
周正は抜群のスタイルをしていた。ブロンズ色の肌、幅広い肩に引き締まったヒップ。体にフィットしたニットが彼の引き締まった腰と筋肉質な体つきを一層際立たせていた。
彼は流行の美しさとは違う。彫刻のように鋭い顔立ち、高い鼻筋、漆黒の眉、鋭い眼光を持ち、無言の時でさえ威厳のある雰囲気を放っていて、人を寄せ付けない。
少し怖く、少しクール、少し荒々しい!
令儀を知る人なら誰も、彼女がこんな男性と関わりを持つとは想像だにしないだろう!
「次回は車で行け。夜道を歩いて帰るのは危険だ。俺がいつも迎えに行けるとは限らない」
彼は二台の車を持っていた。一台は荷物を運ぶ銀灰色の小型トラック、もう一台は黒のアウディだ。彼はほとんど小型トラックを使い、アウディは地下駐車場にずっと停められていた。
「たった三キロよ」車を出して駐車するのは面倒で、令儀はむしろ自分の足で歩く方が便利だと感じていた。
周正はこの話題を続けず、多吉をパンと叩いてバルコニーに行かせ、「風呂に入る」と言って、すでにクローゼットへ服を取りに行っていた。
令儀は食器を洗い終え、少し満腹感があったので、立ったままストレッチをしていると、男性が半袖とショートパンツ姿で浴室から出てきた。
彼の髪はまだ濡れていて、湿り気を帯びていた。「こんな時間にヨガ?」
「ちょっと食べ過ぎたから、消化させてるの」
周正は何も言わなかった。令儀と結婚して一ヶ月も経っていないが、彼女がスタイル維持にこだわりを持っていることは知っていた。
食事量は多くなく、ヨガの習慣があり、夜7時以降はほとんど食べない。
彼はバルコニーに行って多吉に餌をやり、少し遊んでから寝室に戻った。
令儀が満腹感が収まって部屋に戻ると、周正はすでにベッドに横になり、無機材料科学の基礎に関する本をめくっていた。
周正は大学で軍事学校を卒業し、その後西北軍区に配属され、十数年間兵士として過ごした後、昨年除隊して故郷に戻ってきたのだった。