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871話

しかし、これら全てのことに高凡は少しも気づかなかった。ついに彼は一気に木箱を開け、中の物を見た。

木箱の中身を一目見るなり、高凡は眉をしかめた。

なんと箱の中には黒くてつやのない丸い小さな玉が入っていて、鼻を突くような薬材の匂いが漂ってきた。それ以外は何もなかった。

黒い玉は親指の爪ほどの大きさで、まん丸く、まるで漢方薬の丸薬のようで、あの薬材特有の鼻を突く匂いを放っていた。

「これ、何だよ」高凡は玉を取り出して見たが、特に変わった点は何もなく、むしろ材質も雑で見栄えがしなかった。

「この箱の方がまだ価値がありそうだな」高凡は首を振り、ちょうどその玉を捨てようとした時、突然、隣のトウ...