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513話

私は激しく怒りを覚え、中に飛び込んで叱りつけたい衝動に駆られた。だが、私の方が役職は上とはいえ、相手はベテランで学校内に根を張っている。言いにくいが、普段私に丁寧なのは単に利害が対立していないからだ。

もし私が彼の好事を台無しにしたら、後々どんな嫌がらせをされるか分からない。私のような腹黒さのない人間を排除したり、操り人形に仕立て上げたりするなど、彼にとっては朝飯前だろう。

こうした得失を考えると、軽率な行動は取れないが、かといって立ち去る気にもなれない。ふと閃いたアイデアで、急いでスマホを取り出し、マナーモードに切り替えてカメラを起動し、カーテンの隙間に向けた。

秦先生が自分に近づいて...