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1073話

しばらくすると、こそ泥のような怪しげな人影が高凡の診療所にこっそり滑り込んできた。カウンターに頭を支えて座っている高凡を見つけると、その人物はすぐに卑しげな笑みを浮かべて声をかけてきた。

「凡凡……俺は……薬をもらいに来たんだ」

その声を聞いて高凡は顔を上げ、来訪者を見て思わず眉をひそめた。王富貴?こいつが最初の客か?まったく予想外だな。こんなに早く転んだ古い仏に灯明を上げに来るとは。

少し間を置いて、高凡は以前王富貴が林浩然の診療所の前で浴びせた嘲笑については深く気にしないことにした。結局のところ、患者は彼の財神様なのだから。すぐに笑顔で立ち上がった。

「富貴おじさん、どこか具合でも悪いん...