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572話

実は、その箱の中には石ころ以外、何もなかった。

実は、皆気づいていたのだ。張輝には黒蛟龍の鱗など全くなく、あれは全て人を欺くための見せかけに過ぎなかったことを。

張輝はその時、口元を歪めて妖しい笑みを浮かべ、張雨晴を見ながら言った。「張おばあさん、それはどういう意味ですか?私があなたを騙したって?あの時、この箱はあなたに渡すつもりなんてなかったんですよ。私の大伯父さんに渡すつもりだった。あなたが奪っていったんだし、しかも中身も確認せずに。どうして逆に私が悪いみたいに言うんですか?」

「お前、この小僧!偽物のために、今日は命を落としかけたというのに。こんな重傷を負って...この借りは、今日き...