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536話

韓山は路地を抜け出そうとした瞬間、顔に警戒の色が浮かんだ。

眉を軽く寄せ、身を低く構えながら周囲を見渡すと、その眼に一瞬冷たい光が宿った。

王磊軍に電話を掛け終えたばかりだというのに、外の状況がこれとは。

隠竜特戦隊の一員として、韓山は殺気に対する感受性が鋭敏だった。路地の出口の外側に、確実に人が潜んでいることを肌で感じ取っていた。

韓山は素早く体を翻し、隣の壁によじ登った。

下に潜む人々を見下ろし、顔に冷たい笑みを浮かべる。

これは明らかに尋常ではない。韓山の表情が厳しさを増した。

相手が勝負を仕掛けてくるなら、受けて立とう。

だがその前に、王磊軍の件を片付ける必要がある。彼が一体何をしてい...